マキアヴェッリ『君主論』

君主論 (岩波文庫)

君主論 (岩波文庫)

膨大な歴史的事実に基づいて、君主政体の種類と特質を分析、いかにして君主とはあるべきかを考察したもの。
君主たるものは他人からは恐れられよ、しかもなお憎まれることならぬ。君主たるものは獅子でありかつ狐でなければならない。民衆はそもそも愚かで自分の意志や判断力を持たず、つねに時勢に流されやすいものだ。
しかし彼らを統治するために、君主は実際に上に挙げた資質をそなえている必要はない。そうではなく、それらの資質を身につけているように見せかけることが必要なのである。「すなわち、それらを身につけてつねに実践するのは有害だが、身につけているようなふりをするのは有益である」(134)。状況を的確に見極め、常に自らをフレキシブルな状態に置いておく。君主のみならず、教師、教祖、社長、なんでもいいが、上に立つもののあるべき姿はこうでなければならない。学び、教え、支配においては常にパフォーマティブな「見せ掛け」が不可欠なのだ。