2010-01-01から1年間の記事一覧

一般に翻訳とは、ある言語によって書かれたものを母国語などの他なる言語によって移し換えることです。したがって、翻訳が成立するためには、翻訳される言語と翻訳された言語との間に差異がなければなりません。ここから、「翻訳とは何か」という問いがすぐ…

心身の合一―マールブランシュとビランとベルクソンにおける (ちくま学芸文庫)作者: モーリスメルロ=ポンティ,Maurice Merleau‐Ponty,滝浦静雄,中村文郎,砂原陽一出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/12/10メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 14回この商品…

現代版言語起源論

心とことばの起源を探る (シリーズ 認知と文化 4)作者: マイケル・トマセロ,大堀壽夫,中澤恒子,西村義樹,本多啓出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2006/02/14メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 31回この商品を含むブログ (29件) を見る人間と他の類人猿は…

超越、有限、感性=一般形而上学

カントと形而上学の問題 (ハイデッガー全集)作者: ハイデッガー,Martin Heidegger,Hartmut Buchner,門脇卓爾,ハルトムートブフナー出版社/メーカー: 創文社発売日: 2003/11メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (11件) を見るなぜ数…

自己矛盾的自己統一

資本論の哲学 (平凡社ライブラリー)作者: 廣松渉出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2010/09/11メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 1人 クリック: 69回この商品を含むブログ (6件) を見るマルクスが『資本論』第一巻「商品論」で示したのは、直接生産過程に…

とどきますか、とどきません。

勝手にふるえてろ作者: 綿矢りさ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2010/08/27メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 280回この商品を含むブログ (113件) を見る研究会の合間を縫ってジュンク堂新宿店で購入した『勝手にふるえてろ』を一気に読む。問いを立て…

転々と

BSで録画していた『転々』を見る。 ものすごく良い映画じゃないですか。中学生でも思いつくような馬鹿みたいな日本映画とってる暇があるなら、こういう映画にこそちゃんと資金を回すべきでしょう。監督は『時効警察』や『熱海の捜査官』の三木聡。キャストは…

マゾヒズム的共同体

ブックオフキャンペーン。ジェンダー/セクシュアリティ (思考のフロンティア)作者: 田崎英明出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2000/09/21メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 21回この商品を含むブログ (28件) を見る1400円☞750円☞300円著者自身が述べて…

印象派の絵画はそんなに接近して見てもなんだかわかりません

京都市美術館にて開催されていたボストン美術館展に行く。日曜かつ最終日ということもあり、尋常ではない人の量。個人的な印象としては、数年前のルーブル展の三分のニ程度の込み具合とはいえ、じっくり鑑賞するのは難しい。ピカソには世界がこう見えている…

自分のミーハーぶりを正当化してるだけですが、

いわゆるJ-POPと分類されるもので、比較的よく聞くものがある。それをあえて「歌謡曲」と呼んでいるのだが、そのうちのひとつである、RIP SLYMEの新譜のベストアルバムを最近聞いている。ちなみに言っておくと、僕が「歌謡曲」と呼んでいるのは、何か新奇で…

ちちんぷいぷい

また国営放送ネタ申し訳ないのだが、子供番組『シャキーン!』でフォーカスの「Focus Pocus(悪魔の呪文)」が流れてきてほっこりしたのを思い出した。

障害者か障がい者か

国語の授業をしていて「障害者」と黒板に書いたところ、ひとりの小学生に「今は「障がい者」が正しい表記だ」と指摘されて愕然となった。 もちろん「害」という字が与える印象の悪さによって不快感を被る人に対する配慮、それに対し、むしろ字を変えることそ…

ドゥルーズとアドルノ。

否定弁証法講義作者: アドルノ,細見和之,高安啓介,河原理出版社/メーカー: 作品社発売日: 2007/11/23メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 16回この商品を含むブログ (7件) を見る今回、この『否定弁証法講義』を読んでいて、途中からドゥルーズの『差異と反…

全体主義 (平凡社新書)作者: エンツォ・トラヴェルソ,柱本元彦出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2010/05/15メディア: 新書購入: 3人 クリック: 29回この商品を含むブログ (13件) を見る全体主義とは、教科書的に言えば、「生命主義、権力主義、民族主義、ロー…

増田靖彦「思考と哲学―ドゥルーズとハイデガーにおける」(『ドゥルーズ/ガタリの現在』所収、平凡社、2008年、pp.513-536。) ※〔 〕は執筆者自身による挿入。 ドゥルーズの『差異と反復』が、「時代の雰囲気」であったハイデガーによる差異の哲学にその多…

「ヴァン・サン・カント」ではなく、ガス・ヴァン・サントでした。フランス語の聞き取り練習のためと、たまたまBSで見かけた"Paris,je t'aime"(2006)を見る。パリ20区のうち18区をそれぞれ舞台とした、複数の監督による短編フィルムのオムニバス映画である…

血が泣いてる。

八月の光 (新潮文庫)作者: フォークナー,加島祥造出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1967/09/01メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 62回この商品を含むブログ (47件) を見る友だちに強く勧められて読んでいる。一見すると黒人と白人の対比がモチーフなだけに、…

むだい

研究発表が、まぁとにかく終わり、それほど余裕があるわけでもないとはいえ、ホクホクと本を読む。フッサールにおける“原自我”の問題―自己の自明な“近さ”への問い作者: 田口茂出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2010/02/01メディア: 単行本 クリック: …

「翻訳と理解」 同僚のM氏が主導となり「翻訳論研究会」を立ち上げた。M氏の関心が、翻訳という行為における創造性、すなわち、ある言語から別の言語への変換において、共有されている(とされる)意味とは異なる何か(それはあらたな意味や情動、あるいは…

Luke Caldwell, "Schizophrenizing Lacan,[Guattari], and Anti-Oedipus," intersections10, no.3,2009, pp.18-27. 精神分析とドゥルーズの関係は、ひとつの大きなトピックである。とりわけ、フランスの精神分析家ジャック・ラカンがドゥルーズに対して与えた…

るるるのブログ

一部の間でひそかな話題となっているNHKの教育番組「シャキーン」を毎朝見ている。子供番組とはいえそのコンテンツは誰が見ても楽しめる。実際、「おべとも学園」のある回ではリアルに泣きそうになることもあった。そしてある友人と話していて、中に登場…

久方ぶりに自由な一日だった。夜に大学の同期と飲むまでの時間、ジュンク堂(BAL店)をうろうろ。 「なんでも買って良いよ」といわれるのなら話は別だが、特に本を購入することもなく、プレッツエルを食べる。 帰り際立ち寄ったブックオフにて、ユングが4冊…