転々と

BSで録画していた『転々』を見る。
ものすごく良い映画じゃないですか。中学生でも思いつくような馬鹿みたいな日本映画とってる暇があるなら、こういう映画にこそちゃんと資金を回すべきでしょう。

監督は『時効警察』や『熱海の捜査官』の三木聡。キャストは三浦友和オダギリジョーのダブル主演。また、『時効警察』のふせえり岩松了に加えて、『熱海の捜査官』の松重豊らによる掛け合いが見られます。さらに、『時効警察』の麻生久美子が三日月さん役で友情出演し、小泉今日子が勤めるスナックの名前が「時効」だったりと(と書きつつ、すべてウィキペディアに載っていたことに気づく)、ファンがくすくす笑えるものになっています(こう考えると、『熱海の捜査官』の北島さん役(栗山千明)も教頭役(藤谷文子)も、やはり麻生さんでは違うなぁと。やはり犯人はNPO代表と男子高校生の「2」人でしょうか。次回最終回ですね)

個人的には、数年前東京に行ったときに、何を思ったのかひとりで散策した、新宿アルタ裏の立ち飲み街から歌舞伎町を抜けて、「いかがわしい」ホテル街通って伊勢丹に出るというコースがそのまま出てきて、なんだか懐かしい気持ちになりました。

そして、とりわけ目をひいたのは吉高由里子の奇演。『間宮兄弟』の北川景子もそうですが、こういうちゃんと演技ができる女優さんを、単にカワイイといってもてはやすのではなく、見る側がちゃんと評価しなければなりません。もちろん、かつて蜷川氏小栗旬に対して「(馬鹿みたいなドラマに出てないで)自分が出るべき作品をしっかりと自分で選びなさい」と言ったように、彼ら自身の挙措も大切ですが。

内容に関しては、まぁ、あってないようなものなのでなんですが、これほどまでにジンジンと人の弱いところを揺さぶる映画も数少ないのではないでしょうか。
『転々』


あと思いつくとしたら『ゆれる』かなぁ。